天皇が即位の儀式として執り行う
践祚大嘗祭で欠かせない祭祀具
「麁服(あらたえ)」と「繪服(にぎたえ)」
この神聖なる二つの布の
成り立ちと歴史に迫る
あらたえとにぎたえとは
天皇即位の皇室儀礼である大嘗祭は、7世紀には既に行われていたと言われている。天皇に即位する者たちによる口伝のため、この儀礼自体が秘儀とされてきた。
その中でも大変重要な調度品が、大麻繊維で織られた布「あらたえ」と絹布の「にぎたえ」と呼ばれる二種類の反物である。
令和の大嘗祭でも用意されたが、秘儀であるこの儀礼の根幹であるため、その使い方は明かされていない。通説では、即位する皇子が儀礼が行われる深夜に、これらの布を身に纏い、祖霊である神々とひとつになることで、本当の天皇になると言われている。
古式に則り作られ供される二種類の布にフォーカスしながら、大嘗祭と日本文化について探っていく。